gameros’s blog

特撮やアニメの感想など書きます。

「仮面ライダービルド」について

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以前「平成ジェネレーションズFINAL」についての記事では「今作は、ヒーローはピンチに必ず駆けつける、というメッセージを感じる」と書いたが、それに対して「仮面ライダービルド」という作品は、「ヒーローとは何か」 という部分を深く掘り下げている。

 

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※シンプルでいて個性的でもあるベストマッチなデザイン

 

全ての始まりは10年前だった。

火星から持ち帰ったパンドラボックスから放たれた光によって地面が隆起、巨大な壁スカイウォールとなって日本列島は3つに分断された。

3分割された地に誕生した3つの首都、北都、西都、そして東都…。パンドラボックスの謎の解明を進める東都で、桐生戦兎は闘っている。失った自らの記憶を取り戻すため。未確認生命体スマッシュが跋扈(ばっこ)する東都で、桐生戦兎は闘っている。人類の平和を守るため、仮面ライダービルドに変身して…。

パンドラボックスの謎を解明し、自らの記憶も取り戻せ!すべてのカギを握る男・万丈龍我との逃亡と闘いの旅が今、幕を開ける!

「勝利の法則は、決まった!」

(公式サイトより)


前作の「仮面ライダーエグゼイド」とは異なり、 今作の主人公である桐生戦兎は冒頭の時点で既に仮面ライダーである。
「主人公のあたふた初変身が第1話で観たい!」という一部の方は予告の時点でガッカリしていたかもしれないが、放送された第1話を見て胸を撫でおろしたことだろう。主人公と経歴や性格も真逆な男が、最高のリアクションを見せてくれた。


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※実質もう1人の主人公である


前情報の時点で「物語の鍵を握る人物」とされていた万丈龍我は、その紹介に違わぬキーキャラクターであった。
歴代ライダーの中でもトップクラスに真っすぐな猪突猛進型キャラクターなのだが、突然拉致され殺人容疑までかけられれば流石に人を信じられなくなるようで、物語序盤なんかは周りと衝突ばかりしていた。
最初こそ「こいつ野蛮で自分勝手な奴だなぁ」と思ったものだが、万丈に感情移入してみると、あんな仕打ちを受けたら誰だって少なからず感情的になるだろう。そういう点では、とても等身大なキャラクターだったと言える。
そんな彼も、戦兎や美空と共に過ごすことで少しずつ心を開いていく。特に戦兎との出会いは万丈の人生において大きなターニングポイントとなっており、劇中では「戦兎と会わなかったら人を信じられなくなっていた」「戦兎が今の俺を創ってくれた」という発言を、本人のいない所で(ここ重要)語るほどである。これは第1話からずっと追ってきた視聴者にとっても心にくる台詞であり、「ほんとに…ほんとに良かったね万丈…」以外の言葉が出なかった。
更に感動するのは、それが決して一方通行の想いではないことだ。戦兎は戦兎で、今の自分を創ってくれたのは仲間たちだと断言している。
仮面ライダービルド」においての2人の関係は、「戦兎のピンチは万丈が救い、万丈のピンチは戦兎が救う」という構図を徹底していた。しかしそれを「だから2人は仲良し」で片付けるのではなく、「普段は喧嘩ばかりで全く気が合わないけれど、 深いところで繋がっている」という、とても美しい形で描き切ったのだから驚きだ。「違うもの同士がベストマッチになる」という、まさに「仮面ライダービルド」にふさわしいコンビである。


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※これにはビルドドライバーも思わず「ベストマッチ!」


しかし、そんな2人を手のひらで転がし、セクシーにほくそ笑む悪役がいる。そう、我らがブラッドスターク、エボルトだ。


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※マスターのせいでおやっさんポジションを疑う病気にかかった


仮面ライダービルド」の制作発表では「みんなを見守るポジションで頑張ります」というようなことを言っておいて、石動惣一という役を貰った段階でエボルトだということまで聞いていたというのだから、役者含めて生粋のワルである。
パンドラボックスが地球に来たのも、スカイウォールの惨劇も、佐藤太郎が死んだのも、葛城巧が記憶と顔を失ったのも、万丈が異端児として誕生しゆくゆく拉致されたのも…数えだすとキリが無いほど全ての元凶なこの宇宙人、憎まれながらも視聴者から人気だったのは、その考え方・ スタンスも理由の1つだ。
ブラッドスターク時代、彼は自身のことをゲームメーカーだと称した。「ゲームメーカー」 という言葉だけ聞くと、ついどこかのを連想してしまうが、この場合は「戦いのセッティング・進行をする」 という意味合いである。
自身は深入りせず誰かの心をかき回す、もしくは行動しなければならない状況を作り、ゲームに参加していることは確かながらも、実は一歩引いた所から全体を観察している。それがブラッドスタークという異質な存在であった。
事実、中盤までトランスチームシステムだけで乗り切り、エボルドライバーを使うまでは一切強化することが無かった。「仮面ライダービルド」という箱庭で遊んでいる、そんな印象を受けた。
そんなエボルトが何故戦兎たちに負けたのか。もちろん戦兎たちが単純に強かった、ベルナージュなどの邪魔な存在があった…なども挙げられるだろうが、個人的には、ゲームメーカーからプレイヤーになってしまったことが敗因だと考える。
仮面ライダーエボルになってから「あれ、 エボルトさん性格変わったかな?」と感じた視聴者も多いのではないだろうか。力を取り戻してからのエボルトは、周りに対するスタンスを変えているのである。
それは話し方などにも顕著に出ており、万丈や戦兎に憑依し人間と深く関わるにつれ、より人間らしくなっていった。ジーニアスの力で感情が生まれてからなんかは、もはや序盤とは別人と言って良い。目的の達成が近づき、今までのスタンスである必要が無くなったのであろう。
エボルトは人間を「人間ごとき」と言いながらも、「面白い」と評価している。個人的な意見だが、エボルトは人間のことが羨ましかったのではないだろうか。人間は愚かだが、自分には無いものをたくさん持っている。星を滅ぼすことだけを宿命としてきたブラッド族にとって、もしかしたらそれは色鮮やかに映ったのかもしれない。


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※全形態セクシー。セクシーの権化。


もちろん、魅力的なキャラクターとして氷室幻徳や猿渡一海も忘れてはならない。

 

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※ヒゲポテトコンビほんとすき


幻徳は敵として登場したキャラクターだが、視聴者には正体バレバレだったナイトローグ時代が懐かしく感じるほどに、仮面ライダーローグとしての功績は大きい。最期のエボルトへの抵抗なんかは、序盤から続いたローグVSスタークの長い戦いの集大成と言って良い、とても熱い展開だった。
ネタキャラとしても便利で、面白Tシャツ芸なんかは実に彼の見た目とマッチしていただろう。子供に大好評だったと聞く。
一海は途中参戦のキャラクターだが、まず役者の若々しさに驚いた。彼は我々仮面ライダーファンの中では、10年前の「仮面ライダーキバ」で登場した紅音也のイメージが強かったが、猿渡一海という「強くてカシラで仲間想いで格好良いドルオタ」という難しい役をしっかり演じきったのは称賛に価する。
一海が登場することで物語が更に加速し、戦兎と万丈の成長へと繋がることも多かった。三羽ガラスの初登場時は「控えめに言ってアームズモンスター3人組やんけ!」 と思ったものだが、その役割は全く違うもので、最終回で元気にしている北都4人組を観た時に泣きそうになった視聴者も多いことだろう。
幻徳と一海、新世界では元気に過ごしているようだったが、一緒に戦ってきた2人は確かに亡くなっているのが辛いところだ。


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※特に青羽が死ぬ展開は、物語が加速するトリガーとなった


更に、「もう1人の主人公」と言えば万丈龍我だけではなく、葛城巧も挙げられるだろう。


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※とても好みな顔立ち


父や幻徳たちも信用できなくなり、たった1人でエボルトに立ち向かおうとして散った葛城巧。その人生は散々なものだっただろうが、彼の最後の言葉が「楽しかったよ」だったのは本当に嬉しかった。戦兎や周りの人々に触れて、悪魔の科学者もやっと人間らしくなれたのだと、たくさんの意味が詰まった台詞であった。


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※葛城巧の印象が強いゴリラモンドさん


他にも惣一、美空、紗羽、内海、首相たちなど、好きなキャラクターを語ればキリがない。 とにかく1人1人がしっかりと生きていて、信念がある。それが「仮面ライダービルド」という作品であった。
1年間Twitterにて実況してきたが、これほどまでに「うわ!エモい!」と叫んだ作品もなかなか無かった。気になる点が無いと言えば嘘になるが、それが帳消しになるくらいには胸が熱くなる展開・ シーンが本当に多かった。
例えば第16話「兵器のヒーロー」では、戦うことに迷いが生じてしまった戦兎に「誰かの力になりたくて闘ってきたんだろ!誰かを守るために立ち上がってきたんだろ!それができるのは、葛城巧でも佐藤太郎でもねぇ!桐生戦兎だけだろうが!」と、主題歌「Be The One」をBGMに万丈が一喝する。はいエモい。エモの塊。奇跡と偶然太陽と月。


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※本編でも映画でも隙あらばイチャイチャする


また、前作「仮面ライダーエグゼイド」でもそう感じたが、恐らく今作は意識的に一気見に向いているように作られているのではないだろうか。現在はBD/DVDだけでなく、東映特撮ファンクラブなどの動画配信サービスで仮面ライダー作品を観る方も多い。そのような視聴方法にも適している作品と言えよう。


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※月960円払えば無料で歴代作品から最新話まで観放題。お得。


桐生戦兎は、最初こそエボルトに創られた偽りのヒーローだったかもしれない。その行いは正義のヒーロー”ごっこ”であり、ブラッド族の思惑通りに動かされていただけかもしれない。しかし、美空と出会い、万丈や他のみんなと出会い、戦兎はみんなに創られて、正真正銘の正義のヒーローとなった。
仮面ライダービルド」という作品は、「ヒーローとはただ戦うためだけの存在ではなく、みんなの笑顔を守り、みんなの明日を創る存在である」 と声高らかに宣言した、ヒーローという概念へのラブレターである。


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※拙者、満を持してのハイタッチ大好き侍


エボルトを倒し新世界が創造され、戦兎と万丈だけが元々の世界からの異世界転移者となった。この終わり方には賛否両論あるらしいが、2人が1つとなって、2つの世界を1つにし、明日を創った。まさに「Be The One」で「ビルド」な物語の締め方で、これ以上は無いと私は思った。


エモをエモで挟んだエモサンドイッチな「仮面ライダービルド」は、観ているだけで心火が燃える、素晴らしい作品であった。戦兎たちの姿は子供たちにどう映っただろうか。きっとそれは、格好良い正義のヒーローであっただろう。その憧れを大切にして、他人に優しくできる人になっていってほしい。
仮面ライダービルド」は、みんなのために戦った、正義のヒーローたちの物語である。彼らの雄姿が私たちの心の中にある限り、勝利の法則が揺らぐことは無いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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※後輩の作品でもイチャつきおって!そういうとこだぞ!