gameros’s blog

特撮やアニメの感想など書きます。

「仮面ライダーゴースト」について

f:id:gameros:20170920195846p:image

 

 

 

 

私は昔、幽霊が大嫌いだった。「午前3時は幽霊が集まる時間」というお話を絵本で読んで以来、運悪く目覚めてしまった夜は布団の中で怯えていた。

そんな臆病だった私も、遂に幽霊が主人公の作品を真剣に観ることとなる。「仮面ライダーゴースト」は、主人公であるタケルの死から物語が始まる。

 

f:id:gameros:20170920195711j:image

※特撮界でも稀に見る演技上達スピード

 

   亡き父(西村和彦)のようなゴーストハンターになるため、修業するタケル(西銘駿)だが、肝心のゴーストが見えないことにはやる気すら起きない。

   そんな折、街では奇妙な事件が続発。タケルのもとには父から眼魂(アイコン)が届けられる。その眼魂を手にしたタケルは、2体のゴースト、眼魔(ガンマ)に襲われ命を落としてしまう。

 死の世界へと旅立ったタケルは、その途上、仙人(竹中直人)と出会い、仮面ライダーゴーストに変身する力を授かった。ユルセン(声・悠木碧)とともに現世へと舞い戻ったタケルはゴーストに変身。槍眼魔を倒すと、武蔵の力を得てゴーストムサシ魂に変身。刀眼魔を打ち倒す。

 蘇ったタケルだが、仙人によると99日の間に15個の眼魂を手に入れなければ生き返ることは出来ないという。あと98日で14個…。いったいどうすれば!?タケルの戦いの日々が幕を開けた。(公式HPより)

 

オールライダー対大ショッカー」にて1号が「仮面ライダーは死なん!」と仰っていたが、第1話でいきなり死んでしまったタケルは間違いなく仮面ライダーの歴史を動かした主人公であろう。しかしその分、やはり世間からの第一印象はあまりよろしくなかったように思える。「ヒーローは悪に負けない」という昔からあるイメージの中、日曜日の朝に主人公を敗北からスタートさせるというのは、企画を通すこともなかなか難しかったのではないかと思う。しかし今思えば、タケルだからこそできた設定であった。

 

そもそも天空寺タケルというキャラクターは、歴代と比べても不完全な主人公だった。キャラが定まっておらず、何と言うかフワフワしている(幽霊だけに)。しかしそう感じるのはごく自然なことで、タケルに最初に与えられたのは「空っぽの青年」という役割だけだったのだ。

タケルを語る上で忘れてならないのは、彼を構成する『18歳』『小さい頃に両親を亡くしている』『幼馴染も行方不明になる』『頼りは父から貰った英雄伝のみ』という要素だ。キャラが定まっていないどころの騒ぎではない、意図的にキャラ付けを省かれている。心の支えは父と英雄への憧れ、そんな中で命を落としいきなり戦うことになったとしても、普通の青年なら戸惑うか何となく戦うかである。普通の心優しい青年、それだけがタケルの初期から持っている性格であり、実に現実的で等身大と言えよう。

それを踏まえた上で「仮面ライダーゴースト」を観ていくと、本作がタケルの成長物語だということがより分かりやすいだろう。

 

f:id:gameros:20170920221759j:image

※御成は本当に便利なキャラだった

 

ゴーストに登場する仮面ライダーはどれも好みだが、中でもゴーストのグレイトフル魂とムゲン魂はデザインも能力も群を抜いて好きだ。

グレイトフル魂、別名英雄みんなでフルボッコ魂は15人いる英雄を召喚しながら戦う。頭部に各英雄の意匠があり、同じてんこ盛りでもこれまでのてんこ盛りとは一味違う見た目になっている。

 

f:id:gameros:20170920221936j:image

※シャレオツ霊柩車

 

ムゲン魂は消滅から復活したタケルの奇跡の力だが、それにしてもチートすぎる。ウィザードのインフィニティースタイルも速い固い強いのチート三拍子だが、ムゲン魂に至ってはそこに『攻撃をすり抜ける』とかいう「えっそれどうやって倒すの」と視聴者が驚いてしまう程の最強フォームだ。

 

f:id:gameros:20170920222017j:image

※幽霊→火葬→霊柩車→死に装束と、段々と蘇っている

 

これらのフォームを手に入れたのも、ひとえにタケルの努力の賜物である。英雄がまるで孫への愛のようにタケルを可愛がるのも、タケルがどんな時も諦めず人々を助けたのも、タケルの純粋さが根底にある。空っぽだったからこそ、強い意志が無かったからこそ、成長していく中で強い意志を持つことができた。それがタケルという主人公の魅力なのだ。

 

f:id:gameros:20170920222230j:image

※このシーンだけで泣きそうになる

 

仮面ライダーゴースト」は映画でも『タケルの成長』という点にスポットを当てている。

ドライブとの冬映画「MOVIE大戦ジェネシス」では、先輩ライダーの進ノ介や父親である天空寺龍と行動を共にすることで、たくさんのことを学び強くなっていった。春映画「仮面ライダー1号」でもそうだ。本郷猛という大先輩に触れ、命の大切さを知った。夏映画「100の眼魂とゴースト運命の瞬間」ではタケルの想いの強さを、エグゼイドとの冬映画「平成ジェネレーションズ」では仮面ライダーとしての強さを表現していた。今でこそ『人間の可能性は無限大だbotお化け』みたいな扱いを受ける時があるが、その決め台詞に偽りは無く、どんな絶望にも可能性の力で立ち向かっていった。そんなタケルはどうしようもなく仮面ライダーである。

 

もちろん魅力的なキャラクターは主人公だけではない。例えばサブライダーのマコトとアラン。タケル程ではなくとも、この2人も大きな成長を遂げたキャラクターだ。『序盤のマコト兄ちゃんいくら何でも酷すぎる問題』や、アランも『眼魂集めてフミ婆生き返らせよう問題』などもあったが、総合的に見ても良いトリプルライダーであった。マコトとアランの活躍は本編よりもVシネの印象が強いのは惜しいが、あの設定をニチアサでやるのは難しいので仕方ないだろう。

 

f:id:gameros:20170920222728j:image

※イケメン揃い…嫌いじゃないわっ!

 

何でも「仮面ライダーゴースト」は当初思い描いていた脚本がNGになり、急遽方向転換したとも聞いている。『人の生死』というテーマは、今のニチアサでは型にはまった物以外は受け入れられにくいのかもしれない。似たようなことで『改造人間』という設定も身体障害者などへの配慮としてタブーとされてきたが、エグゼイドからはその辺りもチャレンジしているように見受けられる。もしかしたら「仮面ライダーゴースト」の頑張りも、注目こそされなかったかもしれないが、意味はあったのかもしれない。あくまで子供番組ということを考えると難しいだろうが、そういった挑戦はぜひ今後も続けて頂きたい。

 

チャレンジャーとは、いつの世も煙たがれるものである。「仮面ライダーゴースト」は、確かに万人受けしにくい作品だったかもしれない。しかしどうだ、「平成ジェネレーションズ」で普通に高校生活を送っているタケルを観て、みんな思う所があったのではないだろうか。最初は感情移入ができず好きになれなかったタケルも、今ではとても好きなキャラクターの1人だ。

本作は、何も持たない青年が英雄になる物語である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

f:id:gameros:20170921201917j:image 

 ※全てを知る(大嘘)